サービスレベルとフィルレートの違い

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サービスレベルとフィルレートは、どちらも欠品防止の指標ですが、意味が異なります。サービスレベルは欠品が起きない確率、フィルレートは需要のうち満たせた割合を示します。両者の違いと、安全在庫計算での使い分けを解説します。

サービスレベルとフィルレートとは

サービスレベルとフィルレートは、どちらも「欠品をどれだけ防げているか」を表す指標です。しかし、両者は意味が異なります。サービスレベルは、1 回の補充サイクルの間で欠品が起きない確率を指します。一方、フィルレートは、需要量のうち在庫からすぐに出荷できた量の割合を示します。

サービスレベルは「欠品が起きるかどうか」に焦点を当てます。これに対し、フィルレートは「需要量のうちどの程度の量を満たせたか」という数量ベースの指標で、欠品の規模を反映します。同じ在庫水準でも、欠品が起きても一部は満たせるため、フィルレートの方が高い値になることが多いです。

実務では、安全在庫の計算で使う「サービスレベル 95%」は、通常この確率(サイクルサービスレベル)を指します。一方、フィルレートは顧客から見た体感、つまり注文がどれだけ満たされたかに近い指標です。指標を上げるには安全在庫を増やす必要があり、在庫コストとのトレードオフが生じます。目標値は品目の重要度に応じて変えるのが一般的です。

(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)

基本的な仕組み

サイクルサービスレベル(CSL)は、1 回の補充サイクルの間に欠品が起きない確率です。補充サイクルとは、発注から次の発注までの期間を指します。安全在庫の計算で使われる「サービスレベル 95%」は、通常この CSL を意味しています(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)。

一方、フィルレート(充足率)は、需要量のうち在庫からすぐに出荷できた量の割合です。数量ベースで計算されるため、欠品の「規模」を反映します。同じ在庫水準でも、欠品が「起きるかどうか」を見る CSL より、欠品の「量」を見るフィルレートのほうが高い値になることが多いです。これは、欠品が起きても一部は満たせるためです(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)。

CSL は、安全在庫の計算式「安全在庫 = z × 需要の標準偏差 × √リードタイム」における z 値(安全係数)を決めるために使われます。例えば、CSL 90% なら z は約 1.28、95% なら約 1.64、99% なら約 2.33 となります(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)。

フィルレートは、顧客から見た体感、つまり注文がどれだけ満たされたかに近い指標です。受注充足率やオーダーフィルレートなど、複数の定義が存在します(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)。

実務での使われ方

実務では、サービスレベルとフィルレートは在庫政策の設計や評価に用いられます。まず、安全在庫の水準を決める際に、サイクルサービスレベル(CSL)が基準として使われます。CSL は、1 回の補充サイクルの間に欠品が起きない確率を示します。例えば、CSL 95% を目標とすれば、安全係数(z 値)は約 1.64 となり、これを安全在庫の計算式に代入して必要な在庫量を算出します(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)。

一方、フィルレート(充足率)は、需要量のうち在庫からすぐに出荷できた量の割合を表します。これは数量ベースで、欠品が発生した場合の「規模」を反映する指標です。顧客から見た体感、つまり注文がどれだけ満たされたかに近い値として捉えられます。同じ在庫水準でも、欠品が起きるかどうかを見る CSL より、欠品の量を見るフィルレートのほうが高い値になることが多いです。これは、欠品が起きても一部は満たせるためです(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)。

指標を上げるには安全在庫を増やす必要があり、在庫コストとのトレードオフが生じます。そのため、目標値は品目の重要度に応じて変えるのが一般的です。ABC 分析などを用いて、重要度の高い品目には高いサービスレベルを設定し、低い品目には相対的に低い水準を設定することで、全体の在庫効率を調整します。また、フィルレートは受注充足率やオーダーフィルレートなど複数の定義があるため、分母を「注文件数」にするか「数量」にするかで値が変わります。社内で定義を統一し、どの指標で管理しているかを明確にすることが重要です(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)。

よくある誤解と注意点

「サービスレベル 95%」という表現は、需要の 95% を満たすという意味だとは限りません。これはサイクルサービスレベル(CSL)とフィルレート(充足率)のどちらを指すかで意味が変わるため、確認が必要です。

また、フィルレートは分母を「注文件数」にするか「数量」にするかで値が変わります。同じデータでも計算方法によって結果が異なるため、社内で定義を統一することが重要です。指標を上げるには安全在庫の増加が必要になり、在庫コストとのトレードオフが生じます。目標値は品目の重要度(ABC 分析など)に応じて変えるのが一般的です。(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)

関連用語との違い

サービスレベルとフィルレートは、関連する用語と密接に関わっています。まず安全在庫は、目標とするサービスレベルを達成するために、平均需要に上乗せして持つ在庫です。この在庫量を決める際に、サイクルサービスレベル(CSL)が基準となります。

次に欠品(品切れ)は、需要があったのに在庫から出荷できない状態を指します。サービスレベルとフィルレートは、この欠品の起こりにくさを測る指標です。CSL は欠品が「起きるかどうか」、フィルレートは欠品の「量」に焦点を当てます。

また発注点は、リードタイム中の平均需要に安全在庫を足した在庫水準です。この水準を下回ったら発注を行うことで、欠品を防ぎ、目標のサービスレベルやフィルレートを維持します。

まとめ

サービスレベルとフィルレートは、どちらも欠品防止の指標ですが、意味が異なります。サービスレベルは欠品が起きない確率、フィルレートは需要のうち満たせた割合を示します。

同じ在庫水準でも、欠品が起きても一部を満たせるため、フィルレートの方が高い値になることが多いです。また、「サービスレベル 95%」が需要の 95% を満たすことを意味するとは限らないため、指標の定義を確認することが重要です。

(出典:ASCM(旧 APICS)の用語定義)

計算方法と注意

  • サイクルサービスレベル(CSL)は、1 回の補充サイクル(発注から次の発注まで)の間に欠品が起きない確率。安全在庫の計算で使う「サービスレベル 95%」は通常この意味
  • フィルレート(充足率)は、需要量のうち在庫からすぐに出荷できた量の割合。数量ベースで、欠品の「規模」を反映する
  • 同じ在庫でも、欠品が「起きるかどうか」を見る CSL より、欠品の「量」を見るフィルレートのほうが高い値になることが多い(欠品が起きても一部は満たせるため)
  • CSL は安全在庫の計算式 安全在庫 = z × 需要の標準偏差 × √リードタイム の z 値(安全係数)を決めるのに使う。CSL 90% なら z は約 1.28、95% なら約 1.64、99% なら約 2.33
  • フィルレートは顧客から見た体感(注文がどれだけ満たされたか)に近く、受注充足率やオーダーフィルレート(注文単位)など複数の定義がある
  • 指標を上げるには安全在庫を増やす必要があり、在庫コストとのトレードオフになる。目標値は品目の重要度(ABC 分析など)で変えるのが一般的
  • 式: 安全在庫 = z × σ × √LT(z は安全係数、σ は需要の標準偏差、LT はリードタイム)
  • 注意: 「サービスレベル 95%」が「需要の 95% を満たす」という意味だとは限らない。CSL とフィルレートのどちらを指すかを確認する
  • 注意: フィルレートの分母を「注文件数」にするか「数量」にするかで値が変わるため、社内で定義を統一する

出典

  • ASCM(旧 APICS)の用語定義
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